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「行ってらっしゃい」その言葉は元気が出る魔法だ。
90歳を迎えようとする父は娘に、「次はいつ帰ってくるの?」と必ず聞く。
わたしはいつも、まるでお昼を食べ終わった瞬間に夕飯は何を食べたい?
と聞かれた時と同じ口調で「まだ決めてないなぁ」と応える。
そんないつものやり取りを終えた後、必ず「行ってらっしゃい」と言ってくれる。
80歳を迎える母は、必ず駅まで送ってくれる。
テレワークの仕事をしているのに東京にいるなんてよっぽど楽しいだねぇ。
などといった駅までの短い時間で、たわいもない話をする。
駅に着き、わたしが「それじゃ行くね。お母さんも、もう若くないんだから体に気をつけて」と伝えると娘からの言葉が嬉しいのか、表情がパッと輝く。
そして必ず少し不安そうに、少し寂しそうな顔で「行ってらっしゃい。頑張ってきな」と言ってくれる。
私は、その言葉を聞くたびに「行ってらっしゃい」の魔法にかかる。
浮かんでは消える不安や心配を少しだけ胸にためながら、
あなたを信じてる。
いつでも帰っておいで。
いつも私はあなたを想っている。
そんな愛をギューーーーーーーっと詰め込んだ言霊が
「行ってらっしゃい」なのだ。
そんな言霊をくれた人に私ができるお返しは
「ただいま」と伝えることだ。
そこにはまた新しい「おかえり」という賛美の言霊が待っている。
さぁ帰ろう。